大変ご無沙汰していましたが「たまにはいいレストランで食事する会」第3回、先日決行されました。
今回訪れたのはレストラン PONY。「バルト海の宝石」とも謳われるデンマーク領ボーンホルム島生まれのミシュランレストラン Kadeau が営むビストロです。
こちらはここ数年、コペンハーゲンに続々登場しているビストロ風レストランのうちのひとつで、コペンハーゲンでは手頃な価格の400kr前後でコース料理を堪能できるのが特徴。
親レストランのKadeauは、ボーンホルム島とコペンハーゲンにレストランがあり、それぞれがミシュラン1つ星と2つ星を獲得して注目を集めています。さらにここで修行した料理人も続々独立するなど、NOMAとはまた別の流れでデンマークの料理界を盛り上げている存在。
そのレストランが経営する、ということで以前から気になっていたのでした。
というわけで、レポートいたしますのでどうぞお読みください。
ちなみに…
第1回→Radio(リンクはこちら)
第2回→NO.2(リンクはこちら)
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中央駅からバスで5分
場所はコペンハーゲン中央駅の西側、Vesterbro地区。
チボリ公園やラディソンブルー・ロイヤルホテルのある大通りVesterbrogade沿いを行くとたどり着きます。徒歩では20分ほどの距離。バスなら黄色と赤のバス6A一本で、停留所名はPlatanvejです。
お店は中央駅を背にして通りの左側にあるのですが、付近がひっそりとした雰囲気なのでもしかして見逃してしまうかもしれません。ただ下のような看板が出ているので、これを目印にどうぞ。
お店は奥に長いつくり。入るとカウンター席と調理場、奥に客席が広がります。私たちの入店時はスタッフが温かく迎えてくれ、予約名を告げるとすぐ席に通してくれました。
コースは3種類
席についてさっそく手渡されたメニューを眺めます。内容は、
前菜+メイン、もしくはメイン+デザートの2皿コース 325kr
前菜・メイン・デザートの3皿コース 425kr
シェフのおまかせ4皿コース 485kr
おまかせの内容は黒板にも書かれていますが、スタッフが詳しく説明してくれます。
さらにそれぞれのコースにペアリングワインのセット(195kr〜)も頼むことができます。
私たちは事前にHPを見ていたので、とりあえず前菜+メインの2皿を選択。私以外の2人はワインもペアリングにするということ。また、デザートの有無は食後に決めることにしました。
まずは前菜
前菜、メインともに選択肢が3〜4種類があり、幸いにも三者三様のお皿をチョイス。それぞれ紹介しますね。まずは前菜。
タラのタルタル風ソース添え。
上に乗っているのはラディッシュとライ麦パンのクルトン、謎の葉っぱ・チャイブでした。タラは塩で〆てあって生臭みがまったくなく、まるでエビのようなプリプリ感で美味しかったです!マヨネーズ風のタルタルソースともよく合っていましたし、シャキシャキ野菜の食感も楽しめました。
ただ、タラの塩気がちょっと強かったので、そのまま食べるよりもパンに乗せるといいかも、と思ったり。このお皿はいわばデンマーク風オープンサンドSmørrebrødの再構築、といった感じ?
次はムール貝の前菜。
フェンネルと根セロリのシャキシャキ感が程よい!ムール貝も新鮮さが感じられ、貝の旨みは間違いなし、と実感させられる味。
3皿目はボーンホルム産の新じゃがサラダ。
まずはこれ、じゃがいも自体が甘くて美味しい!さらに添えられたスモークチーズソースが絶妙のハーモニーでした!そしてスプラウトに隠れて見えないのですが、青イチゴの酸味もいいアクセント。
じゃがいもだからと甘く見ていましたが、前菜の中ではこれが一番だったかも。ボーンホルムのじゃがいもは市場にあまり出回らないので貴重ですしね!またじっくり味わってみたい1皿でした。
個性豊かなメイン
前菜を食べ終わり、ゆっくりおしゃべりを楽しんでいると、席が混みだしました。私たちは開店直後の17時半の予約だったのですが、週末というのもあり18時を過ぎてくると続々お客さんが集まってきます。それだけ人気ということでしょうか。
若い人や観光できた感じの人もいますが、中には年配の夫婦やおばあちゃん2人組というテーブルもあって、地元に馴染んでいる感があります。みんな居心地良さそうで楽しそうです。
さて、そうしているうちにメインが運ばれてきました。
まずは私。豚バラのコンフィ、ベリーBBQソース添え。
これ、サイドにはキャベツのソテーが添えられているのですが、豚バラ+BBQソースときたら想像するのはお好み焼き!まさにそんな味でした。上の揚げ玉っぽいカリカリ(何か聞くの忘れた…)もまさにそれ!
お好み焼きを解体して再構築したのでは?と思うお皿でした。パンよりもごはんと合わせたかった。
サービススタッフに「これ、日本のお好み焼きっていう料理の味そっくり!」と言うと「そうかも!でも日本のお好み焼きは最高に美味しいよ、僕も好き」とのお返事。なんでも日本人の友人がいてお好み焼きを作ってくれるとか。
とはいえ、この1品はお好み焼きからインスピレーションを受けたわけではなさそうでしたが…。
さ、気を取り直して次。こちらはKulmle(英名:メルルーサ・ヘイク)のソテー。
ヨーロッパではメジャーなタラ科の白身魚です。身にはくせがなく、パサパサ感も感じさせない調理法で食べやすい。カリカリの焼き目も良し。しかもサイドには今が旬の白アスパラ!これが甘くてジューシーで美味しかったです。
そして最後はKalvebrisler(英名:sweetbread)のソテー。
これ、お皿が出てくるまで仔牛の胸肉かと思っていたのですが、パリのビストロではよく見かける仔牛の胸腺肉、つまりris de veau(リドヴォー)のことだと判明!乳飲み仔牛のときにしかない部位で、お肉と内臓の中間のような感じです。
中はプリっとジューシー。臭みはなく、甘みと旨みがしっかりあって、赤ワイン仕立てのソースともよく合います。
この食材にまさかデンマークで出会うとは!このレストランの評価、勝手にアップです!そしてデンマークが食に乏しかった10年前からは考えられない多様性に乾杯。貴重な出会いでした。
デザートか?ワインか?
2品食べ終わって、じゃあデザートどうする?となり、私と友人は迷わずデザート。一方、主人はワインを楽しみたいということで2品でストップすることに。
というのも、ペアリングで注文したワインのセレクションがかなり満足度高いものだったようなのです。
下の写真が前菜、メインそれぞれのお皿に合わせて出されたワイン。
イタリア、フランスなど定番のほか、オレンジワイン発祥と言われるグルジアのものなど多種多様。ナチュラルワインも提供されました。どれも保管や提供温度など管理がしっかりされている感じがあって、もちろんお味も美味しい!
普段からワイン研究に勤しんでいる(という名目で本当は飲みたいだけの)主人は、この質の高さに満足したというわけ。
というわけで、最後はデザート2皿、ワイン1杯の食後のお楽しみ。
まずはイチゴ。
この季節はやっぱりイチゴ!上に乗っているのはKoldskålというヨーグルトのような乳製品のアイスです。旬のイチゴなので文句無しに美味しい。甘いだけでなく、酸味もしっかりあって。個人的にはイチゴはそのまま食べるのが一番好きです。
お次は生クリームベースのアイスのパフェ。
上にかかっている緑のものはhavesyreというハーブのグラニテ。ちょっと青臭いのですが、酸味がけっこう強くそれでいて爽やかで、歯切れの良いシャリシャリ感もクセになりそう。まさに夏のデザートという感じ。さらに散りばめられたホワイトチョコレートの粒の濃厚な甘みとも合わさって美味しかったです。
そしてピノノワール好きの主人のためにサービススタッフがチョイスしてくれたのがこちらのワイン。
私は飲めないので味わっていないのが申し訳ないのですが、普段は仏頂面のピノノワール好きを思わずにんまりさせる一杯だったそうです。
主人曰く、サラミやチーズなどのおつまみをアテにワインを飲みに来てもいいな、と思うくらいとのこと。
残念ながらそういったタパスメニューはなかったのですが、前菜+メインの2皿であとはワインを楽しむ、というのもオツなのではないでしょうか。お店手前にあるカウンター席は、常に予約なしのお客さんのために空けられているということなので、気軽に入って食べて帰る、ということも可能かと思います!
レアな食材に出会える場所
農業国のデンマーク、ボーンホルムの独特な土地で育った食材もまた自慢できる存在です。
ではありますが、なぜかあまり一般には流通していないのが残念なところ。じゃがいももイチゴも、その他の食材も美味しいものがたくさんあるとは思うのですが。
でも、今回ご紹介したレストランPONYではそんなレアな食材を味わうことができます。また、サービスも心地よく気軽に話に応じてくれますし、お店自体もいい雰囲気。ワインのセレクト・管理も申し分なし。
また季節を変えて、違う食材を味わいに行きたいと思えるレストランでした。
PONY
Vesterbrogade 135
1620 Kbh V
火–日 17:30-23:30
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