毎年2月ころになると、デンマークのパン屋に並ぶカラフルなスイーツ。
シュークリームのような形で、白やピンク、チョコレート色のクリームやグレーズがかわいい。この見た目についつい買いたくなってしまいます。
これはFastelavnsboller(ファストラウンスボラー)と呼ばれ、この時期にしか食べられない限定スイーツ。今日は、クリームたっぷりでおやつにぴったりなFastelavnsbollerについて、書きたいと思います。
コペンハーゲンのパン屋さんやカフェでもそれぞれオリジナルのものを販売していますよ。パン好きにも甘味好きにもたまらない、デンマーク自慢のスイーツ、ぜひ食べ比べしてみませんか。
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お店によってアレンジは様々
1月下旬〜2月にかけて、街歩きの際にはぜひパン屋さんを覗いてみてください。きっとショーケースにはかわいいFastlavnsbollerが並んでいるはず。しかも、お店によってパンの生地やクリームの種類、デコレーションが違っているので、見ごたえありです。
しかも、スーパー併設のパン屋さんやセブンイレブンでも必ずと言っていいほど売り出しています。特にスーパーのものは値段も10kr前後とお買い得。これは食べ歩きしがいがありますね!
ちなみに、下の写真がセブンイレブンのもの。
右から2つ目の白いグレーズがかかったものです。(奥のもそうですが。)
こうして見ると、お店による違いが分かりますね。サイズ感も手のひらいっぱいほどで、ものによってはボリュームもあるので、軽めのランチなんかにも良さそうです。
もとはキリスト教の風習が始まり
今では様々なアレンジがされているFastelavnsbollerですが、もともとはイーストを使用したパン生地に砂糖とレーズンをたっぷり入れる、というものでした。
実は、これはキリスト教の風習であるFastelavn(別名・謝肉祭、カーニバル)という行事に合わせて食べられていたもの。
デンマークではイースターの7週間前の日曜日がFastelavnの祭日です。2018年は2月11日となっています。
そしてその3日後からは40日間の断食期間に入ります。期間中は肉やパン、砂糖類が食べられないので、Fastelavnsbollerには小麦と砂糖が使われ、断食前の食事を思いっきり楽しむようになっているんだそう。
ちなみに、これまで出版され、現存のレシピ本(1837年)にFastelavnsbollerのレシピが書かれているそうです。それによるとパン生地(デニッシュ生地ではない)に、カルダモン、レーズン、オレンジピールを入れるようですよ。
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現在は子どものためのお祭り
この断食、今では行われていません。(敬虔な信者の方はしているかもしれませんが)
ただ、このお菓子とともにFastelavnというお祭りだけは残っていて、主に子どもが楽しむものとして捉えられています。その特徴は以下の3つ。
仮装パーティー
この時期、デンマークのスーパーやおもちゃ屋、子ども服屋には仮装用のコスチュームが並びます。
男の子はヒーローもの、女の子ならプリンセスが多いのですが、例えば赤ちゃんは動物やてんとう虫なども。もちろんオリジナル仮装を作る家庭もあります。
幼稚園ではたいていFastelavnのパーティーの日が設けられ、子どもたちはその日は仮装して出かけます。また、週末は地元の教会や自治体でもパーティーを開催する場合も多いです。
街にコスチュームに身を包んだ子どもたちが多いときは、Fastelavnと思っていいでしょう。
木の樽を割る
仮装をして何をするかというと、吊るされた木の樽を棒でたたいて割る。。。
地味ですが、子どもたちが大興奮!樽はデコレーションやペイントがされ、黒猫の絵や写真なども貼られています。また、中には紙吹雪やお菓子、黒猫のモチーフが入っています。
なぜ黒猫か、樽か、というと、これも古くからの風習に基づいているもの。
昔は黒猫は厄災の象徴として捉えられていて、特に当時流行したペストを運ぶと信じられていたそうです。そのため、樽の中に黒猫を入れて、樽を割るついでに猫を殺せば病気も寄り付かない、という迷信があったそう。
もちろん現代ではそんなことをしませんから、黒猫は絵や写真などのモチーフになったようです。
さて、樽を叩くのは1人1回ずつ。樽が割れるまで順番に行われます。そして、最後に樽を割って地面に落とした人は「Kattekongen(猫の王様、女の子ならKattedronning/猫の女王)」としてその日1日もてはやされる、というわけ。
歌:Fastelavn er mit navn
現代に残るもうひとつの風習として、Fastelavnの歌があります。内容は、「Fastelavnは私の名前、もしFastelavnsbollerをもらえなかったらいたずらするぞ」。
これ、ハロウィンっぽいですよね。しかも、子どもたちはこの歌を歌いながら近所の家を回り、お菓子をもらうんだとか。ハロウィンとのつながりは分かりませんし、コペンハーゲンではまだこのお菓子おねだりに遭遇したことはないのですが、もしかしたら他の地方では行われているかもしれません。また、歌の内容やメロディーなども地方によって違うそうです。
最後におすすめショップをご紹介
さて、スイーツの話からだいぶそれてしまいましたが、最後にFastelavnsbollerのおすすめショップを少しご紹介して終わりにしますね。
Lagkagehuset
コペンハーゲン市内に20軒以上の店舗を構えるパン屋さん。種類豊富で、デコレーションもかわいいです。(この記事の冒頭写真。)市内観光で逃した場合でも、中央駅構内や空港内と、利用しやすい場所にあるのもポイント高し。
Andersen
日本のアンデルセンの支店。かなり真面目にデニッシュに取り組んでいるので、味は期待できます。以前はコペンハーゲン中央駅前にありましたが、今はIslandsbryggeという地区に移転しました。
住所:Thorshavnsgade 26
2300 København S
La Glace
ストロイエの真ん中にある老舗お菓子屋。ケーキも伝統的なものが見つかりますが、昔ながらのものが食べたければこちらが一番!ティータイムには行列もあるかもしれません。
住所:Skoubogade 3
1158 København K
Holm
百貨店・Illumに入る路面店。こちらのFastelavnsbolerは伝統に忠実ながらも、丁寧に作られていると定評があります。定番のデニッシュ自体のレベルも高く、立地も立ち寄りやすいのがいいですね。
住所:Illums Stormagasin
Østergade 52
1100 København K
この他にも、カフェやパン屋さんでFastelavnsbollerを置いているところは多いと思います。丸い形にクリーム、そしてトッピングがされているかわいいパンを見かけたら、ぜひ注文してみてくださいね。この時期だけの味、きっと楽しめると思いますよ。
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