以前ご紹介したCopenhagen Cooking & Food Festival。
8月18日から10日間にわたって繰り広げられてきたフードフェスですが、先日の27日(日)に終わりを迎えました。
世界中の有名シェフを招待したポップアップレストランやホットドッグ世界一コンペなどのイベントの数々。それは、デンマークの食文化の隆盛が感じられましたし、今後の盛り上がりもまだまだ期待できるものでした!
そして最終日。有終の美を飾る一大イベントが開催。その名もÅrets Ret。
デンマークじゅうの星付きレストランや有名レストランからシェフが集まり、その腕を振るうイベントです。今回はその様子を詳しくお伝えします!ノルディックキュイジーヌの美しい料理の数々、どうぞお楽しみください。
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今年は17回目の開催
2000年から行われているこのイベント。デンマーク料理評議会の協力のもと行われています。
主催者は主要メディアのジャーナリスト4人です。彼らがこの1年間、あらゆるレストランを食べ歩いた結果、琴線に触れた料理を各カテゴリー5皿ずつ選出。そこから「今年の一皿」を決める、というもの。
カテゴリーは3つ。
「Hav(海)」「Land(大地)」「Ost & Sød(チーズ&甘味)」と、面白い分け方。ですが、3つ目はもう少しひねりのあるネーミングが欲しかったところ。
コペンハーゲンのマーケットTorvehallerne横のイスラエル広場が開催場所で、設営されたキッチンで実際にシェフがそ皿を作り、審査員に披露するんです!
ノミネートには、世界のベストレストランにも輝いたNOMAのシェフRene Redzepi氏を始め、デンマークじゅうの有名レストランのシェフの名前が連なっています。
彼らが実際に料理する姿なんて、めったに見られません。しかも一般観覧は無料というので、これは料理好き必見のイベントと言えるでしょう!
さて、コンペティション開始は10時30分というので、会場に向かってみると…
あれっ!?
第一カテゴリー「海」の調理はすでにスタートしてるはずなんですが…?さすがデンマーククオリティ!!公のイベントも時間通りいかないデンマークマジック!!
観覧客もまばら、通りかかっても素通りする人もいます。これはやはり宣伝不足としか言いようがありません!
ただ、そのおかげで観覧席の一番前に陣取ることができました。次第に司会者が話し出し、各レストランのチームもなんとなく調理を開始した次第です。
「海」部門
さて、まずは「海」部門のはじまり。
それぞれ料理写真とレストランの紹介をお楽しみください。
Peter Steen Hansen & Anders Jensen,The Balcony(Odense)
マテ貝とリンゴ・ナッツのタリアテッレ
2016年4月29日にオープンしたばかりながら、すでにオーデンセのガストロミーレストランとして評価されている。オーデンセの中心部にあり、季節ならではの食材と極上のサービスが受けられるとの評判。
Jonathan Berntsen, CLOU(Copenhagen)
ヒラメの一種Skærisingと柑橘類、秘密のスパイス
双子の兄弟で2012年に始めたレストランがオリジナル。ソムリエのAlxanderはその後ワインショップを、料理人のJonathannが2014年に新たにCLOUをオープン。ミシュラン1つ星。
Rene Redzepi, NOMA(Copenhagen)
タラバガニと塩味の卵黄、発酵させた牛(!?)
言わずと知れた、世界のベストレストランNOMA。世界から注目を集めていますが、現在は閉店中。12月にまた新しくNOMA 2.0をオープンする予定です。ただ、期間限定の9月3日まで、ポップアップレストランUnder the Bridgeを開催中。ちなみに、シェフのRedzepi氏はイベント開始時間ギリギリに自転車で登場。
Søren Selin, AOC(Copenhagen)→Winner!
Skærising(前述の魚)のバーベキュー
地元の食材を使い、五感に訴える料理を目指す、がコンセプト。かなり前からコペンハーゲンでは注目の存在でした。アメリエンボー宮殿近くに店を構えるレストラン。ミシュラン2つ星。
Nicola Fanetti, Brace (Copenhagen)
デンマーク産イカとイカスミ、かぼちゃと生姜のキヌア/ピュレ
北イタリア出身のイタリア人シェフNicola Fanetti氏による、デンマークとイタリアの融合を表現した料理が楽しめるレストラン。オーガニックや地元食材など、環境に優しい料理がコンセプト。メキシコ人ソムリエFelix Chamorro氏との共同経営。
「大地」部門
Dennis Juhl, Ruths Hotel/Textur(Aalborg)
新じゃがと牡蠣のラグー、ヘンプオイル添え
スケーエンのRuths Hotelで活躍し、現在は独立し、Texturのシェフとして腕を振るっているJuhl氏。国内主要メディアのBerlinskeによる評価は満点の6つ星を獲得し、今期待のシェフとして注目されている。
Brendon Walker, Veve(Copenhagen)
ウォルドーフサラダ(ナッツ、セロリ、マヨネーズベースのサラダ)
ミシュランの星を持つ唯一のタイ料理レストランKiin Kiinが新たにオープンしたベジタリアンレストラン。Kiin Kiin自体は他にも注目のレストランやテイクアウト店などを展開。コペンハーゲンではベジタリアン料理の需要も高まっているので、今後Veveも話題になりそうな予感。
Claus Henriksen, Dragsholm Slot(北シェラン)
カリフラワーのコンフィ、塩味のムール貝添え
コペンハーゲンのあるシェラン島北部にあるDragholmという古城ホテル内にあるガストロノミーレストラン。ミシュラン1つ星。シェフはオスロの名門Bagatelle、NOMA、Fomel Bなどで修行を積んだ、実力の持ち主。
Kristian Baumann, 108(Copenhagen)
ローメインサラダ
NOMAが経営する、比較的リーズナブルなレストラン108。ニューハウンの対岸にあり、オープン当初から今も大人気のレストラン。Baumann氏は韓国にルーツを持つ30歳の注目の若手シェフ。
Nicolai Nørregaard, Kadeau(Copenhagen)→Winner!
セロリ、Havgus(チーズ)、車葉草(薬草)、ホワイトアスパラガス
スウェーデンやドイツとも近い特殊な島ボーンホルムの食材に特化したレストランKadeau。現地にはオリジナルのレストランがあり、その系列として2016年にオープン、ミシュラン1つ星。
「チーズ&甘味」部門
Torsten Vildgaard, Restaurant Studio(Copenhagen)→Winner!
プラム、さらにプラム、ブラウンチーズ
2013年にオープン後、たった4ヶ月でミシュラン1つ星を獲得。オーナーはClaus Meyer氏とシェフのVildgaard氏。以前ポップアップバーでご紹介した、海沿いにある元税関の建物内にある。
Allan Poulsen, (元)Restaurant Mejeriet(ユラン半島)
皮付きプラムミックス、種のクリーム
オスロのBagatelleやデンマーク国内の有名レストランで実力を発揮したシェフ。2016年にはオーフス南部のレストランMejerietシェフに就任。ですが、現在は「元」シェフ。
Matt Orlando, Amass
ヘーゼルナッツ、コーヒー、チョコレート、ポルチーニ
アメリカ人シェフOrlando氏。ロンドンのFat Duck修行時にRene Redzepi氏と出会い、NOMAでスーシェフののちヘッドシェフに就任。2013年7月に自身のレストランAmassをコペンハーゲンにオープン。通常はディナーのみですが、金土のみはランチ営業もしています。ちなみにポルチーニはデンマーク語でKarl Johan。
Brian Mark Hansen, Søllerrød Kro(シェラン島)
ピスタチオ、ミルク、タイム
ミシュラン1つ星レストラン。コペンハーゲン北部、340年の歴史を持つ建物を使ったレストラン。料理の質もさることながら、ソムリエもかなり高い評価を得ている。シェフのHansen氏は2013年のフランスの料理コンペ・ボキューズドールにも出場。
Eric Vildgaard, Restaurant Jordnær(コペンハーゲン近郊)
ミルクアイス、菜種油のブイヨン
コペンハーゲン近郊にあるレストラン。ハイクオリティな料理とサービスを提供するレストラン。シェフVildgaard氏はNOMAでも修行経験あり。
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目の前で調理が見られる楽しみ
さて、ざっと写真でご紹介しましたが、ノルディックキュイジーヌの世界、いかがでしたか。
盛り付けや草花などの小物使いがやはり独特ですね。皿の使い方にも余白などをもたせて雰囲気がありますし、色合いなんかもそうです。
そんな料理を作り上げるシェフの姿を見られるこのイベント、かなり楽しいです。
調理時間はそれぞれ1時間なのですが、事前に下準備をしてきているシェフも多く、全ての工程が見られるわけではないですが、最後の盛り付けの様子やチームの雰囲気などが感じられて、有意義です!普段見られないところが見られる満足感。
ただ、一般人にも試食ができる工夫があったらもっと盛り上がったと思いますが…。
でも、貴重な体験ができるイベントでした!しかも、デンマークにこれだけのクオリティの高いレストランがあったんだ、と再確認することもできました。
今回の写真をぜひ参考に、コペンハーゲンをはじめとするデンマークのレストラン選びにもお役立てくださいね!
今回のコンペ含め、フードフェスはまた来年も開かれる予定とのこと。また詳しい日程など分かり次第、こちらでお知らせします。気になる方はチェックしてみてください!
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