盛り上がるコペンハーゲンのフードシーン。
先日開催されたコペンハーゲンフードフェスティバルでは、NOMAやGeraniumなどのガストロノミーレストランが世界から注目を集めているだけではなく、デンマーク人の食への関心も高まっていると実感しました。
その流れの中で、最近特に多くなったと感じられるのが、ワゴンや自転車などを使った移動販売。以前、Street Food Festivalの回で取り上げたように、50kr前後で食事ができるのが魅力です。
また、食事だけでなく、コーヒーの移動販売もよく見かけるようになりました。
特別なイベントに出店しているだけでなく、街の広場や公園などでも見かける機会が多いです。路面のカフェよりもや安くコーヒーやカフェラテが買えるのが一番のポイント。さらに、最近では淹れ方や豆にもこだわったワゴンも増えているので、コーヒー好きなら注目したいところです。
そんなわけで、今回はコペンハーゲンで急増中のコーヒーワゴンについてご紹介します!
スポンサーリンク
ちっちゃいサイズ、個性的なデザイン
よく街で見かけるコーヒーワゴンは、小さな3輪タイプ。
こちらでは「tuktuk(トゥクトゥク)」と呼ばれ、タイなどで見かける3輪タクシーが元となっているようです。
運転席部分を覗いてみると、軽トラよりもさらに狭い。実際に路上で走っているのを見かけたことがありますが、大男のデンマーク人では窓からはみ出してしまいそうなほど。ギュウギュウ詰め感が満載です。いちおう2人乗りのようですが、無理なのでは?
Street Food Festivalにも何台か出店していました。
それぞれのカラーやデザインで個性的。サイズの小ささもあり、とてもかわいい見た目です。
この写真↑、黄緑色のKalles Kaffeは、すでに多様な形態で展開しているようです。他のイベントでも見かけたので、けっこうポピュラーな存在ではあるようです。
また、見た目だけでなく、コーヒー豆の種類や焙煎、淹れ方、オーガニックなど、独自のこだわりが見えるワゴンも多く、こだわりのないその辺のカフェより美味しい場合もあります。
また、価格の安さもポイント。
例えばカフェラテの場合。路面店の相場が約35〜40krですが、コーヒーワゴンなら25〜35kr程度で済みます。散歩中の休憩にも、手軽に利用できるので、これは試してみる価値アリです!
実は歴史は古い
このカフェワゴン、新しいブームのように思えますが、調べてみると実は歴史が深いものだと分かりました。
遡ること100年以上。1907年のことですが、コペンハーゲンに最初のカフェワゴンが登場したらしいのです。
それは1910年頃に販売されていたポストカードのモチーフにもなっていて、ここから販売しているのは女性だったと分かります。
もちろん当時はワゴンといっても車ではなく、馬車の荷台にカフェポットを乗せての販売だったよう。価格は8øre(100øre=1kr)で砂糖とミルク付きでした。
現在デンマーク人のソウルフードともなっているホットドッグのスタンドは、もともとこのコーヒーワゴンからヒントを得て生み出されたといいます。となると、コーヒーはデンマーク人のソウルドリンクとも言えそうですね!
スポンサーリンク
豆専門店のコーヒー豆を使ったワゴン
では、実際に街で見かけるワゴンを2つご紹介しましょう。
まずは冒頭の写真にも登場しているEspresso Barです。
ワゴンの鮮やかな青が印象的。そして特徴は、コペンハーゲンにオフィスを構えるKontra Coffeeの豆を使用していることにあります。
Kontra Coffeeとは、2005年にオープンした豆専門店。元カフェ店員のデンマーク人と、ストロイエ中心地のカフェ・Europa1989でバリスタをしていデンマーク人の2人を中心に経営しています。ちなみに、バリスタの彼は2005年のバリスタ世界チャンピオン!
そんな2人が立ち上げたショップでは、自家焙煎した豆を購入することができます。また、エスプレッソマシンの販売、コーヒーの講習会なども行っているそう。
同じような活動をしているショップにCoffee Collectiveがありますが、それよりも先の立ち上げで、デンマークのコーヒー界に影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。
さて、味の方ですが、酸味は抑えめで深みがあります。カフェラテを注文しましたが、牛乳の甘さが加わって、いいバランス!最後までコーヒーらしい苦みが味わえるので、美味しくいただけました。
出現ポイントですが、週末にはØsterbro地区にある公園、Fælledparkenに定期的に出店しているそうです。ほかの場所は特に決めていないそうですが、たまにイベント会場などに出店の場合があるとのこと。
Kontra Coffee自体は直営のカフェは持っていないので、なかなか味わう機会がないかもしれません。青いワゴンを目印に、見つけた際にはぜひ試してみてください!
コーヒー豆の輸入で社会貢献
もうひとつご紹介したいのが、Ønskです。
若いデンマーク人男性2人が運営している小さなコーヒーワゴンで、使っている豆はニカラグア産。その豆を直接仕入れて、焙煎や販売、抽出も自分たちでやっています。
普段はウェブショップでの豆販売とオフィスへのケータリングやカフェ設置などが主だそうですが、時々イベントへの出店もあるそうです。
小さいながら、味はなかなかよく、コーヒーの苦みとラテの甘みがいいバランスになっていました。豆の香りもよかったですし、また味わいたいワゴンのひとつです。
Ønskとはデンマーク語で「願い」や「願望」という意味。豆を直に仕入れることを通し、現地の女性の雇用の創出、コーヒー農家の地位向上、教育の質の改善などに貢献しているとのことです。
実際に契約農家の働き手の半数は女性。また、フェアトレードで仕入れることで、生産の能力も上がり、豆の質も保たれるという循環が生まれているそう。
こういった活動によって、世界のコーヒー農家の地位が見直され、もっと豊かになるといいですね。
このワゴン、なかなか出現しないレアキャラなので、見かけたらぜひ味わってみてくださいね!
これからにも期待
以上ご紹介した以外にも、本当にたくさんのコーヒーワゴンがあります。
何かのイベントの際には必ずと言っていいほど出店しているので、そのときが味わってみるチャンス!
また、これだけの多様性があれば、今後、もしかしたら「コーヒーワゴンフェス」なんかも開かれるかもしれませんね。
わたしも、下手の横好きではありますが、コーヒーへの興味は尽きませんので、これからもいろんなコーヒーワゴンに挑戦したいと思っています!
みなさんも、コペンハーゲンでワゴンを見かけたら、ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね。
コメントを残す